さしとかです。
人気お笑い芸人の方が、法人の売り上げの無申告と『費用計上』に指摘が入り追加徴税が入り話題になってますね。
【ノーカット】チュートリアル徳井が申告漏れ 深夜に会見「しっかりとした納税をすることができず」(2019年10月23日)
ネットの評判を見ていると辛辣なコメントが多く並んでいました。追加徴税で1億円を超える金額で大金です。納税をちゃんとされているサラリーマンの方々からすると腹ただしいと思う気持ちが湧いてくるのでしょう。
私も個人事業主として不動産投資やFXなどの売り上げ申告のため、過去に確定申告を5回程行っており、普通のサラリーマンよりは今回の事件を理解しているつもりです。帳簿も完璧とは言えませんが、税務署に問い合わせしたりネットで調べながら自分で作ってます。
せっかくなのでこのタイムリーな話題とあわせて、サラリーマンにあまり馴染みのない『費用』の考え方をお話ししたいと思います。
- 人気芸人が会社を作っていた理由とは
- 『個人的な支出を会社の経費で払う』費用の考え方
- 肝心な今回の人気芸人の所得隠しの問題点について
- まとめ 所得は隠していないが納税はルーズでは済まされない。費用は根拠が必要
人気芸人が会社を作っていた理由とは
この人気芸人が会社を作った一番の理由は、法人化したほうが税金が抑えられるという点にあります。会社とサラリーマンのお金の流れをざっくり比較すると以下のようになります。
◆会社
売上 ー 費用 = 利益(個人事業主であれば所得)
◆サラリーマン
給与 ー 給与所得控除 = 所得
会社を作る目的を理解するにはまずは『所得』を理解する必要があります。
所得には国で定める様々な種類があります。
・サラリーマンとしてもらえる『給与所得』
・アパートや駐車場などの『不動産所得』
・コインランドリーや自販機などの『事業所得』
・メルカリやFXなどで設ける『雑所得』
などなど…いろんな種類があります。
個人事業主であれば売上から必要経費を引いた金額、サラリーマンであれば給与から控除をした金額に対して『所得税』がかかってきます。
『所得税』は累進課税制度というものが設けられています。以下が累進課税制度の表となっています。
所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万~330万円 | 10% | 97,500円 |
330万~695万円 | 20% | 427,500円 |
695万~900万円 | 23% | 636,000円 |
900万~1800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1800万~4000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
表の通りですが、所得は増えれば増えるほど税金が取られる仕組みです。サラリーマンは会社が納税を申告してくれるため、基本的にこの仕組から逃れることはできません。一番高い税率で計算すると以下のようになります。
(※わかりやすくするために細かい控除などは除外して計算しています)
(所得金額4000万円 × 所得税率45%) - 控除額479.6万円= 所得税1320.4万円
かなりの金額を収める必要になります。
しかし法人化、すなわち会社を作ると利益に対して法人税率は最大で23.9%しかかかりません。計算式は以下の通りとなります。
利益4000万円✕法人税23.9% = 956万円(個人の税率との差額364.4万円)
その他、地方税などで7万程度最低かかって来ます。(※こちらもわかりやすくするために他の細かい税金は割愛しています)
『所得』が大きい人ほど会社を作ると税率の差は大きくなるということがわかります。法人から更に給与を払ったり費用計上をうまくすることで節税もしやすいです。この人気芸人に関しては所得が非常に高額になっていたため、法人を作るほうがメリットがあったということになります。
『個人的な支出を会社の経費で払う』費用の考え方
ニュースでは
15年3月期までの4年間は旅行代や洋服代など約2千万円の個人的な支出を会社の経費としてして申告していた
となっております。先程出てきた計算式であらわすと以下の通りとなります。
◆会社
売上 ー 費用 = 利益(個人事業主であれば所得)
費用に対して『個人的な支出を経費として申告』していたということを指しています。この中に時計や洋服代、海外への個人の旅行代などを含んでいたということです。会社として費用を増やせば『売上が減る』→『納税も減る』→『費用に申告した分の購入したものも税金を払わない分で手に入る』という図式となります。
先程の計算の例ですが、費用が1000万増えた場合に利益4000万円が3000万円に減ったとします。
利益3000万円✕法人税23.9% = 717万(利益4000万円の際の税金956万円に対して239万円も少ない。更に1000万円分経費に計上した買い物ができている)
ということになります。今回の場合は時計や衣服や旅行が認められないためその分の税金も結局取られてしまっていますが認められていた場合は大きく金額が変わってきます。
経費にできるものは業種や内容によっても違うためなんとも言えないのですが、時計モデルで活動されていたり、事務所の衣装として保管していたり、ちゃんとした理由があれば認められた可能性もあります。経費の申告については税理士さんの意見をしっかりと聞いて計上する必要があります。
肝心な今回の人気芸人の所得隠しの問題点について
上記の内容を踏まえて、まとめると以下の通りです。
①芸人として収入が高くなりすぎたため会社を作った。
②会社を作ったが納税の申告をしていなかった。
③会社を作った段階で届け出をしているので、国税から逃れられるわけがないのに無視をし続けていた。
→ルーズすぎるのか…危機意識なさすぎるのか…納税義務を理解してなさすぎるのか…
④経費計上も私的な内容を入れていて適当だった。
⑤記者会見で過去はしっかり納税していたと嘘をついていた。
となります。
上記をまとめると残念ながら社会人として、経営者として納税義務を守れない信用できない人物である…ということだけは間違いなく言えるでしょう。所得隠しではなく、ただ無申告を突き抜けているという印象です。
ちなみに脱税という声もありますが、脱税は架空の費用を増やしたり、雇っていない従業員の給与払っていたり、売上を過少申告したり、そういった悪意があることを指します。売上の流れは通帳の流れを追えばすぐにわかります。所得隠しとも言われいますが、意図的に隠しているのではなく、無視をしていた印象です。
私的なものを経費計上した件については、税務署が認める根拠があるかないかの差なのでここについては費用計上が認められなかったというだけです。結局追加で納税することになってしまったことと、世の中のファンの方々の信用をなくしてしまったという悲しい結果でした。
まとめ 所得は隠していないが納税はルーズでは済まされない。費用は根拠が必要
今回の人気芸人の方は社会的立場や責任が大きかったにも関わらず実際信じられないくらいルーズで危機意識が薄かったということは間違いないでしょう。所得隠しではなくただの無申告を貫いたという状況です。何よりこの状態を貫き通すことのほうがすごいと個人的には感じました。
納税は期日が決まっています。ルーズとかの次元ではなく、納税は義務です。
また、経費の計上については、費用は不動産投資にしても何にしてもしっかりと根拠を述べられるような内容のものを計上しましょう。不動産投資でロレックスの時計を経費計上しようとしても難しいですが、カッティングシートやマキタのドリルは経費で落とすことは十分認めてもらえると思います(笑)
今回の事件を通して、改めて納税の大切さを感じました。確定申告の準備をしっかりしよう…と自分に言い聞かせて準備していきたい思います。
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